国家総合職工学区分 対策ブログ

官僚試験の工学区分の試験対策、過去問解説を記事に書いていきます。

【国家総合職過去問解説】2023年度専門記述試験 流体力学

今回は国家総合職採用試験工学区分の流体力学の解説をしていきます。

間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

問題は載せていませんし、インターネット上では得ることは難しいと思います。

問題が欲しい方は iguana41014@gmail.com に連絡してください。

問題の難易度

今年度の流体力学は全体的に簡単でした。 流体力学特有の知識等はあまり使わず、ほとんど数学のような問題でした。 個人的には、この試験で何をはかろうとしているのか甚だ疑問です。 きかれていることをゆっくりと計算していけば合格点が取れてしまいます。 本番では当たりの問題でしょう。

(1)複素ポテンシャルの問題

計算すれば答えが出ます。

(a)

(i)

曲線上の各点における流れの方向がその点で接線方向に一致するもの

(ii)

とある一点から通過した流体の流れをかいたもの

(b)

(i)

問題文にわざわざ定義を書いてくれているのでそれを使って計算します。

$$ \begin{split} \phi &= Re(W)\\ &=\frac{W+\overline{W}}{2}\\ &=\frac{1}{2}\left\lbrace\ k(z+\overline{z})+\frac{m}{2\pi}\left(\frac{1}{z}+\frac{1}{\overline{z}}\right) \right\rbrace\\ &=x\left(k+\frac{m}{2\pi}\frac{1}{x^{2}+y^{2}} \right) \end{split} $$

同じように

$$ \begin{split} \psi &=Im(W)\\ &=\frac{W-\overline{W}}{2i}\\ &=\frac{1}{2i}\left\lbrace k(z-\overline{z})+\frac{m}{2\pi}\left( \frac{1}{z}-\frac{1}{\overline{z}} \right) \right\rbrace\\ &=y\left(k-\frac{m}{2\pi}\frac{1}{x^{2}+y^{2}} \right) \end{split} $$

(ii)

$$ \begin{split} \psi&=y\left(k-\frac{m}{2\pi}\frac{1}{x^{2}+y^{2}} \right)=0 \end{split} $$ ですので、以下の式が成り立ちます。 $$ \begin{split} y&=0\\ x^{2}+y^{2}&=\frac{m}{2\pi k} \end{split} $$

x軸と半径が$\sqrt{\frac{m}{2\pi k}}$の円が流線となります。

(iii)

よどみ点では、流速がゼロになります。

$$ \begin{split} u&=\frac{\partial \phi}{\partial x}\\ &=k-\frac{m}{2\pi}\frac{x^{2}-y^{2}}{\lbrace x^{2}+y^{2}\rbrace^{2}} \end{split} $$

同じようにして $$ \begin{split} v&=\frac{\partial \phi}{\partial y}\\ &=-\frac{m}{2\pi}\frac{2xy}{\lbrace x^{2}+y^{2}\rbrace^{2}} \end{split} $$ これらが0になります。 $v=0$ より $$ \begin{split} xy&=0\\ (x,y)&\neq (0,0) \end{split} $$ 分母がゼロでないことに注意してください。

このことと、$u=0$より $$ \begin{split} x=0のとき\\ k+\frac{m}{2\pi}\frac{1}{y^{2}}&=0\\ y^{2}&=-\frac{m}{2\pi k} \end{split} $$ k.mが正の実定数ですので、この式を満たす実数yは存在しません。 ですので$x\neq 0$になります。 $$ \begin{split} y=0として\\ k-\frac{m}{2\pi}\frac{1}{x^{2}}&=0\\ x^{2}&=\frac{m}{2\pi k}\\ x&=\pm \sqrt{\frac{m}{2\pi k}} \end{split} $$ よって、よどみ点の座標は$(x,y)=(\pm \sqrt{\frac{m}{2\pi k}},0)$になります。

(c)

(i)

半径rの地点での流量の式を考えましょう。 $$ \begin{split} 2\pi rv_{r}=q\\ v_{r}=\frac{q}{2\pi r} \end{split} $$

(ii)

問題文に極座標における関係式を書いてくれていますのでそれを使います。 $$ \begin{split} \frac{\partial \phi}{\partial r}&=v_{r}\\ &=\frac{q}{2\pi r}\\ \phi&=\frac{q}{2\pi r}\ln{r}+C(\theta) \end{split} $$ $$ \begin{split} \frac{\partial \phi}{\partial \theta}&=rv_{\theta}\\ &=0\\ \end{split} $$ よって$C(\theta)=0$になるので $$ \phi=\frac{q}{2\pi r}\ln{r} $$ 同じようにして $$ \begin{split} \frac{\partial \psi}{r\partial \theta}&=v_{r}\\ \frac{\partial \psi}{\partial \theta}&=\frac{q}{2\pi }\\ \psi&=\frac{q}{2\pi}\theta+C(r) \end{split} $$ $$ \begin{split} \frac{\partial \psi}{\partial r}&=-v_{\theta}\\ &=0\\ \end{split} $$ よって $$ \begin{split} \psi&=\frac{q}{2\pi}\theta\\ \end{split} $$ ここまでできたら、複素ポテンシャルを求めるだけです。 $$ \begin{split} W(z)&=\phi +i\psi\\ &=\frac{q}{2\pi}(\ln{r}+i\theta)\\ &=\frac{q}{2\pi}\ln{re^{i\theta}}\\ &=\frac{q}{2\pi}\ln{z} \end{split} $$ ここの変換でオイラーの公式を使いました。$e^{i\theta}=cos\theta +isin\theta$

(d)

(i)

やることは同じです。 $$ \begin{split} W(z)&=az^{3}\\ &=ar^{3}(cos3\theta +isin3\theta) \end{split} $$ $$ \begin{split} \phi&=ar^{3}cos3\theta\\ \psi&=ar^{3}sin3\theta \end{split} $$

(ii)

$$ \begin{split} v_{r}&=\frac{\partial \phi}{\partial r} \\ &=3ar^{2}cos3\theta \end{split} $$ $$ \begin{split} v_{\theta}&=-\frac{\partial \psi}{\partial r} \\ &=-3ar^{2}sin3\theta \end{split} $$

(iii)

まずは$\psi=0$を考えます。 $$ \begin{split} \psi&=3ar^{2}sin3\theta=0\\ \theta &=\frac{\pi n}{3} \end{split} $$ 今 $0\leq \theta <\frac{\pi}{2}$ですので $$ \theta=0,\frac{\pi}{3} $$

この時の流線を固定壁とみなすとその間の角は $\frac{\pi}{3}$ になります。

(e)

(i)

前問と同じように計算すると $$ \begin{split} \psi&=r^{\frac{2}{3}}sin\frac{2}{3}\theta=0\\ \theta&=\frac{3}{2}\pi n \\ \theta&=0,\frac{3}{2}\pi \end{split} $$

(ii)

流線は流れの方向が接線方向と同じです.

この条件から

$$ \begin{split} \frac{dy}{dx}&=\frac{v}{u}\\ \frac{dy}{v}&=\frac{dx}{u}\\ \frac{dr}{u_{r}}&=\frac{rd\theta}{u_{\theta}}\\ \frac{dr}{\frac{2}{3}r^{-\frac{1}{3}}\cos{\frac{2}{3}\theta}}&=\frac{rd\theta}{-\frac{2}{3}r^{-\frac{1}{3}}\sin{\frac{2}{3}\theta}}\\ \frac{dr}{r}&=-\frac{d\theta}{\tan{\frac{2}{3}\theta}}\\ \ln{r}&=-\frac{3}{2}\ln{\sin{\frac{2}{3}\theta}}+C\\ r&=A\sin{\frac{2}{3}\theta}^{-\frac{3}{2}} \end{split} $$ このように流線を表す極形式が分かります。 Aの値を複数考えて二次元グラフに流線を書きましょう。

(2)平行板の間の流れと温度分布

流体力学では定番の平行板の流れです。ナビエストークス方程式をかいて、様々な条件からいらない項を消し、微分方程式を解くのが一般的な流れです。 しかし、今回は微分方程式をもう示してくれていますので、それを解くだけです。 後半の温度分布に至っては微分方程式の解も教えてくれています。

(a)

(i)

与えられた微分方程式を解いていきましょう。 注意点ですが問題文より、圧力勾配はx方向だけであり、一定であるので $\frac{dp}{dx}$は定数です。 $$ \begin{split} \frac{d^{2}u}{dy^{2}}&=\frac{1}{\mu}\frac{dp}{dx}\\ \frac{du}{dy}&=\frac{1}{\mu}\frac{dp}{dx}y+C_{1}\\ u&=\frac{1}{2\mu}\frac{dp}{dx}y^{2}+C_{1}y+C_{2}\\ \end{split} $$ ここで境界条件ですが、 $$ \begin{split} &y=0 で u=0\\ &y=hで u=0 \end{split} $$ です。 これをもとに積分定数を決めていきますが、境界条件と因数定理より、uはy,(y-h)で因数分解できます。 よって、計算するまでもなくuは求まります。 $$ u=\frac{1}{2\mu}\frac{dp}{dx}y(y-h) $$ 次にuが最大となる点を考えます。 流れの方向はxの正方向なので圧力勾配$\frac{dp}{dx}$は負になります。 つまり、求めたuは上に凸なyの2次方程式なので、平方完成より$u=\frac{h}{2}$でuは最大になります。 そのときのuは $$ \begin{split} u_{max}&=\frac{1}{2\mu}\frac{dp}{dx}\frac{h}{2}\left(-\frac{h}{2}\right) \\ &=-\frac{h^{2}}{8\mu}\frac{dp}{dx} \end{split} $$ となります。 このことから、uを$u_{max}$で書き換えると $$ u=-\frac{4u_{max}}{h^{2}}y(y-h) $$ になります。

(ii)

奥行きは単位長さとしてみるので無視していいです。 y方向の速度は0なので、yの微小区間でのuを考えて、それを積分すれば体積流量は求まります。 $$ \begin{split} Q&=\int_{0}^{h}udy \\ &=\int_{0}^{h}\frac{1}{2\mu}\frac{dp}{dx}y(y-h)dy\\ &=-\frac{1}{12\mu}\frac{dp}{dx}h^{3} \end{split} $$

(iii)

uの平均値ですが、つまりは平均流速ですね。 平均流速は単位時間当たりの流量を断面積で割れば出ます。 $$ \begin{split} u_{mean}&=\frac{Q}{h} \\ &=-\frac{1}{12\mu}\frac{dp}{dx}h^{2}\\ &=\frac{2}{3}u_{max} \end{split} $$

(b)

(i)

解答の方向性としては、与えられた微分方程式を解くだけです。 このときに、馬鹿正直に計算していると計算ミスの可能性や、多くの時間がかかってしまいます。計算しているように書きましょう。

微分方程式より $$ \begin{split} k\frac{d^{2}T}{dy^{2}}&+\left\lbrace\mu\frac{du}{dy}\right\rbrace^{2}=0 \\ \frac{d^{2}T}{dy^{2}}&=-\frac{1}{4k\mu}\left\lbrace \frac{dp}{dx}\right\rbrace^{2}(2y-h)^{2} \\ \frac{dT}{dy}&=-\frac{1}{24k\mu}\left\lbrace \frac{dp}{dx}\right\rbrace^{2}(2y-h)^{3}+C_{1}\\ T&=-\frac{1}{196k\mu}\left\lbrace \frac{dp}{dx}\right\rbrace^{2}(2y-h)^{4}+C_{1}y+C_{2}\\ &=-\frac{\mu u_{max}^{2}}{3kh^{4}}(h-2y)^{4}+C_{1}y+C_{2} \end{split} $$ となります。

境界条件は $$ \begin{split} &y=0 で T=T_{1}\\ &y=hで T=T_{2} \end{split} $$ これを代入して、積分定数を計算すると、 $$ T=T_{1}+\frac{T_{2}-T_{1}}{h}y+-\frac{\mu u_{max}^{2}}{3kh^{4}}\lbrace h^{4}-(h-2y)^{4}\rbrace $$ になります。

最後の積分定数の計算は、さもしているかのように書けば大丈夫です。

(ii)

Tが最大となるyを探すには、Tをyで微分して増減を調べます。 $$ \begin{split} \frac{dT}{dy}&=\frac{T_{2}-T_{1}}{h}-\frac{8\mu u_{max}^{2}}{3kh^{4}}(2y-h)^{3} \\ \end{split} $$ このようになりました。 yの三次式になりましたが、このままではよくわかりません。 普通ならばもう一度微分して、増減を一階微分の増減を調べ、そののちにTの微分を調べる手順です。 しかし、そんなことをしなくてもTの増減はわかります。

もう一度Tの微分の式を見ます。

この式が表すグラフは $$ z=-\frac{8\mu u_{max}^{2}}{3kh^{4}}(2y-h)^{3} $$ をzの正の方向へ$\frac{T_{2}-T_{1}}{h}$だけ移動したものになります。 つまり、下のグラフのようになります。

グラフを見ると、$\frac{dT}{dy}$は単調減少関数です。 このことから、Tは$\frac{dT}{dy}=0$になる点まで、増加し、そののち減少することが分かります。 よって$y^{\ast }$は$\frac{dT}{dy}=0$になるyです。 よって $$ \begin{split} \frac{dT}{dy}=\frac{T_{2}-T_{1}}{h}&-\frac{8\mu u_{max}^{2}}{3kh^{4}}(2y^{\ast}-h)^{3}=0\\ (2y^{\ast}-h)^{3}&=\frac{3kh^{3}(T_{2}-T_{1})}{8\mu u_{max}^{2}}\\ y^{\ast}&=\frac{1}{2}\left\lbrace h+\left(\frac{3kh^{3}(T_{2}-T_{1})}{8\mu u_{max}^{2}} \right)^{\frac{1}{3}} \right\rbrace\\ \end{split} $$ となります。

$y^{\ast}$が平板間に存在する条件ですが $$ \begin{split} 0< &y^{*} < h\\ 0< &\frac{1}{2}\left\lbrace h+\left(\frac{3kh^{3}(T_{2}-T_{1})}{8\mu u_{max}^{2}} \right)^{\frac{1}{3}} \right\rbrace <h \\ T_{2}&-T_{1}<\frac{8\mu u_{max}^{2}}{3k} \end{split} $$

になります。

(iv)

右辺第三項は流体の速度に関する項です。yが$\frac{h}{2}$に近づくにつれて。つまり、流体の速度が大きくなるにつれて流体の温度を上昇させています。これは、流体の粘性によって流体のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されているためです。

【国家総合職過去問解説】2023年度専門記述試験 材料力学

今回は国家総合職採用試験工学区分の材料力学の解説をしていきます。

間違っているかもあしれませんが解答の参考にしてください。

問題は載せていませんし、インターネット上では得ることは難しいと思います。

問題が欲しい方は iguana41014@gmail.com に連絡してください。

問題の難易度

2023年度の材料力学は難しいです。 本番では選択しないことが賢明ですね。 (1)は材料力学ではなく、数学の問題です。そういった意味では、誘導に乗っていけば問題なく解答できるのではないでしょうか。大学受験の数学のような問題ですので、慣れている人には簡単ですが、慣れていないと難しいです。 (2)これは難しい… 材料力学の公式を覚えているだけでは解くことはできません。深いところまでの理解が必要です。 (3)座屈の問題ですが、座屈荷重を求めるまでを自分で立式し計算しないといけません。公式の導出を答えさせるような問題ですので、公式丸暗記では対策できません。

点数を取るためには、ほかの科目を選択しましょう。

(1)

これは材料力学か?と思うほどに、数学のような問題です。落ち着いて誘導に乗れば難しくはありません。

(a)

1番目と2番目の間に生じる力を考えます。

境界で働く垂直応力は$\sigma $であり、境界より下で働く力を断面積$A_{1}$で支えています。 $$ \begin{split} A_{1}\sigma &= P+A_{1}L_{1}\rho g\ A_{1}&= \frac{P}{\sigma -L_{1}\rho g} \end{split} $$ ここを間違えると、この先すべてが間違えることになるので、慎重に計算しましょう。

(b)

同じように3番目と2番目の真直棒の境界を考えましょう。 境界より下にかかる力を断面積$A_{2}$で支えています。 $$ \begin{split} A_{2}\sigma &= A_{2}L_{2}\rho g+A_{1}\sigma\\ A_{2}&= \frac{A_{1}\sigma }{\sigma -L_{2}\rho g} \end{split} $$

(c)

$A_{1}$を代入するだけです。 $$ A_{2}=\frac{P\sigma}{(\sigma -L_{1}\rho g)(\sigma -L_{2}\rho g)} $$

(d)

x番目とx-1番目の境界を考えるだけです。同じように境界より下の力を断面積$A_{x}$で支えている。 $$ \begin{split} A_{x}\sigma &=A_{x-1}\sigma +A_{x}L_{x}\rho g\\ A_{x}&=\frac{\sigma}{\sigma -L_{x}\rho g}A_{x-1}\\ &=\frac{\sigma}{\sigma -L_{x}\rho g}\frac{\sigma}{\sigma -L_{x-1}\rho g}...\frac{\sigma}{\sigma -L_{2}\rho g}A_{1}\\ &=\frac{\sigma}{\sigma -L_{x}\rho g}\frac{\sigma}{\sigma -L_{x-1}\rho g}...\frac{\sigma}{\sigma -L_{2}\rho g}\frac{P}{\sigma -L_{1}\rho g}\\ &=\frac{1}{1-\frac{\rho g}{\sigma}L_{x}}\frac{1}{1-\frac{\rho g}{\sigma}L_{x-1}}...\frac{1}{1-\frac{\rho g}{\sigma}L_{1}}\frac{P}{\sigma}\\ \end{split} $$

(e)

(i)

$$ A_{x}=\frac{P}{\left(1-\frac{\rho g}{\sigma}L\right)^{x}\sigma} $$

(ii)

$$ \xi = xL $$

(iii)

これは$h=-\frac{\rho g}{\sigma}L$になるように変形して、極限を計算しましょう。 $$ \begin{split} A(\xi)&=\frac{p/\sigma}{\left\lbrace \left(1+\frac{1}{-\frac{\sigma}{\rho gL}}\right)^{-\frac{\sigma}{\rho gL}}\right\rbrace^{-\frac{x\rho gL}{\sigma}}}\\ &\to \frac{p/\sigma}{e^{-\frac{\rho g\xi}{\sigma}}}\\ &=\frac{P}{\sigma}\exp(\frac{\rho g\xi}{\sigma}) \end{split} $$

(2)

難しい問題です。 コイルばねの仕組みを考えますが、よく理解していないとどうなっているのかよくわかりません。 本番ではとばして、時間が余ったらよく考えるのがいいですね。

(a)

下向きに10Nの力が働いているので、その反作用として断面には上向きに10Nの力が働きます。また、下向きの力によるトルクも働きます。

(b)

トルクによるせん断応力は断面の外周部円周方向に沿って発生します。 せん断力によるせん断応力は断面内で一定です。 これら2つの重ね合わせがせん断応力分布であり、最大となるのは図の点A。

(c)

ここまでできればあとは計算するだけです。 逆に前問までが分からなかったり,自信がなければとばしてもいいと思います。

問題文ではコイルバネとトーションバーのばね定数を求めるようにされていますが、トーションバーのほうが圧倒的に簡単なので、コイルバネが分からなくてもトーションバーから求めましょう。

トーションバーのばね定数を$k_{1}$とし、ねじり角を$\theta $、作用するトルクをTとすると、ばね定数は以下の式で求められます。 $$ \begin{split} k_{1}&=\frac{T}{\theta }\\ &=\frac{M}{\frac{ML}{GI_{P}}}\\ &=\frac{GI_{P}}{L}\\ &=\frac{GI_{P}}{2\pi RN_{a}} \end{split} $$ それぞれの文字に値を代入すると答えです。$N_{a}$は巻き数で10になり、Rはコイルの半径です。 $$ k_{1}=1,5625(N/m) $$

次はコイルばねのばね定数です。ばね定数を$k_{2}$として、かかる力をP、それにより変位した距離を$\delta$とするとばね定数は以下のように求められる。 $$ k_{2}=\frac{P}{\delta} $$ $\delta$を求めましょう。 コイルばねの微小区間の長さ$dl$について考えます。

この微小区間で発生するねじり角を$d\theta$とすると、このねじり角分だけコイルバネののびが$d\delta$だけのびると考えられます。

これは図を見たほうが分かりやすいです。

幾何学的な関係から $$ d\delta=Rd\theta $$ が成りたつことがわかりますね。

ここで注意なのが、 $$ d\delta=2Rd\theta $$ にしてしまうことです。

こうしてしまうとのびを2回数えてしまっています。 私も最初は間違えました。

今ねじり角の公式より $$ d\theta=\frac{T}{GI_{P}}dl $$ であるので、のびは以下のように求まります。 $$ \begin{split} \delta&=\int Rd\theta\\ &=\int_{L}\frac{RT}{GI_{P}}dl\\ &=\frac{RPR}{GI_{P}}2\pi RN_{a} (\because L=2\pi RN_{a},T=PR) \end{split} $$

それぞれの文字に値を代入して以下になります。 $$ \begin{split} k_{2}&=\frac{P}{\delta}\\ &=\frac{GI_{P}}{2\pi R^{3}N_{a}}\\ &=156,25(N/m) \end{split} $$

このように見てみると単純なようですが、初見でここまで考えるのは至難の業です。 トーションバーのばね定数を求めたら別の問題へ移りましょう。

(3)

座屈の問題です。 問題設定は基本的なのですが、しっかりと計算させてくるので勉強時には結果ではなく導出過程までを自分でできるようにしましょう。

(a)

まずは初期不整無しの場合を考えます。 図のように考えます。

変位xでのモーメントは $$ M_{x}=-P(\delta -v) $$ となる。 ここで$\delta=v|_{x=l}$です。 曲げモーメントが求まったら、考えるのはたわみの基礎式ですね。 $$ \begin{split} \frac{d^{2}v}{dx^{2}}&=-\frac{M}{EI}\\ \frac{d^{2}v}{dx^{2}}+\frac{P}{EI}v&=\frac{P\delta}{EI}\\ \frac{d^{2}v}{dx^{2}}+\lambda^{2}v&=\lambda^{2}\delta \end{split} $$ ここで、$\lambda=\sqrt{\frac{P}{EI}}$としています。 この微分方程式は特殊解と非斉次2階微分方程式の解の足し合わせで表現されます。 よって $$ v=C_{1}sin\lambda x+C_{2}cos\lambda x+\delta $$ となります。 この微分方程式の計算は本質ではないので、細かいところまでは書いていません。 次は積分定数の$C_{1},C_{2}$を境界条件から求めていきます。 $x=0$で$v=0$より $$ C_{2}=-\delta $$ $x=0$で$\frac{dv}{dx}=0$より $$ C_{1}=0 $$ よって $$ v=-\delta cos\lambda x+\delta $$ これまでは、たわみを求めるだけですね。 座屈荷重を求めるためには、条件が必要です。 今、先端が自由多端ですので $x=l$で$\frac{d^{2}v}{dx^{2}}=0$ですので $$ \begin{split} -\delta \lambda^{2}cos\lambda l&=0\\ cos\lambda l&=0 \end{split} $$ この条件は必ず成り立つので $$ \lambda l=\frac{\pi}{2}+\pi n $$ となります。 変形すると $$ \begin{split} \sqrt{\frac{P}{EI}}l&=\frac{\pi}{2}+\pi n\\ P&=\frac{EI}{l^{2}}\left(\frac{\pi}{2}+\pi n\right)^{2} \end{split} $$ このように荷重が求まります。座屈荷重は限界値なので$n=0$より 座屈荷重は $$ P=\frac{\pi^{2}EI}{4l^{2}} $$ 次は初期不整がある場合の座屈荷重を求めます。 これは初期不整がないときの式において$\delta=\acute{\delta}+e$とすればすぐにたわみの式が求まります。ここで$\acute{\delta}=v|_{x=l}$です。 $$ v=C_{1}sin\lambda x+C_{2}cos\lambda x+\acute{\delta}+e $$

境界条件積分定数を求めていきます。 $x=0$で$v=0,\frac{dv}{dx}=0$ $x=l$で$v=\acute{\delta}$ これらの境界条件からたわみは $$ v=e\frac{1-cos\lambda x}{cos\lambda l} $$ このままでは、座屈荷重は求まりません。 そこで分母に注目してみると、分母がになると横変形が発散することが分かります。つまり座屈しているということです。 よって $$ cos\lambda l=0 $$ この条件に初期不整が含まれていません。また、初期不整がない時と同じなので、座屈荷重は同じになります。

(b)

座屈荷重の場合の垂直応力$\sigma_{cr}$を求めます。 $$ \begin{split} \sigma_{cr}&=\frac{4P_{cr}}{\pi d^{2}}\\ &=\frac{4}{\pi d^{2}}\frac{\pi ^{2}EI}{4l^{2}}\\ &=\frac{Ed^{2}\pi^{2}}{64l^{2}} \end{split} $$ ここで $$ \begin{split} k&=\sqrt{\frac{I}{A}}\\ &=\sqrt{\frac{\pi d^{4}}{64\frac{\pi d^{2}}{4}}}\\ &=\frac{d}{4} \end{split} $$ より縦横比$\frac{l}{k}=\frac{4l}{d}$なので、このことからもう一度整理すると $$ \sigma_{cr}=\frac{E\pi^{2}}{4\left(\frac{l}{k}\right)^{2}} $$ 図で表すとこんな感じです。

圧縮強度を$\sigma_{max}$とします。先ほどの図にこの圧縮強度をしるし、設計の許容範囲を太線で表示するとこのようになります。

十分に短ければ、圧縮強度だけを考慮すればよく、細長ければ座屈荷重を検討すればよいことが分かりますね。

【国家総合職過去問解答】2023専門記述試験 熱工学

今回は国家総合職採用試験工学区分の熱力学の解説をしていきます。

間違っているかもあしれませんが解答の参考にしてください。

問題は載せていませんし、インターネット上では得ることは難しいと思います。

問題が欲しい方は iguana41014@gmail.com に連絡してください。

問題の難易度

全体的に基本的なことをきかれているので、落ち着いて解きましょう。 しかし(4)は題意が分かりにくく、問題が何をきいているのか、なにを答えればよいか迷ってしまいます。 私自身も(4)の解答は自信がありません。 (3)までをしっかりと確実に解答し、(4)はわかるところだけを解答すれば十分合格です。

解答本文

(1)エントロピー変化の問題

公式通りに計算しましょう。

(a)

(i)

$$ p=\frac{mRT}{V} $$

(ii)

$$ \begin{split} d Q&=c_{v}mdT+pdV\\ &=c_{v}mdT+\frac{mRT}{V}dV \end{split} $$

(b)

$$ \begin{split} d S&=\frac{d Q}{T}\\ &=\frac{c_{v}m}{T}dT+\frac{mR}{V}dV \end{split} $$ よって積分して

\begin{split} \Delta S&=\int_{T_{1}}^{T_{2}}c_{v}m\frac{1}{T}dT+\int_{V_{1}}^{V_{2}}m R\frac{1}{V}d V\\ &=c_{v}m ln\left(\frac{T_{2}}{T_{1}}\right)+m R ln\left(\frac{V_{2}}{V_{1}}\right)\ \end{split}

(2)

この問題も公式に当てはめるだけです。

(a)

エネルギー保存より

\begin{split} mc(T_{A}-T_{E})&=mc(T_{E}-T_{B})\ T_{E}&=\frac{T_{A}+T_{B}}{2} \end{split}

(b)

定積変化よりSはいかのようになります。

\begin{split} dS&=\frac{d Q}{T}\ &=\frac{mcdT}{T} \end{split}

両辺を積分して

\begin{split} |\Delta S_{A}|&=mc \biggl|\int_{T_{A}}^{T_{E}} \frac{1}{T}dT\biggr|\\ &=mc\biggl|ln\left(\frac{T_{E}}{T_{A}}\right)\biggr|\\ &=mcln\left(\frac{T_{A}}{T_{E}}\right) \end{split}

ここで絶対値を外すときに注意しましょう。$T_{A}>T_{E}>T_{B}$であるので、$ln\left(\frac{T_{A}}{T_{E}}\right)>0$となり絶対値を外します。

(c)

同じように $$ |\Delta S_{B}|=mcln\left(\frac{T_{E}}{T_{B}}\right) $$

(d)

大小比較は差が正、負になるかを考えるのが定石です。

\begin{split} |\Delta S_{A}|-|\Delta S_{B}|&=mc\left(ln\left(\frac{T_{A}}{T_{E}}\right)-ln\left(\frac{T_{E}}{T_{B}}\right)\right)\\ &=mcln\left(\frac{T_{A}T_{B}}{T_{E}^{2}}\right) \end{split}

よってlnの中身が1より大きいか小さいかを考えればいいことが分かります。

\begin{split} T_{A}T_{B}-T_{E}^{2}&=T_{A}T_{B}-\frac{(T_{A}+T_{B})^{2}}{4} \ &=-\frac{(T_{A}-T_{B})^{2}}{4} <0 \end{split}

つまり$T_{A}T_{B}<T_{E}^{2}$となるので$|\Delta S_{A}|<|\Delta S_{B}|$になる

(3)

再生サイクルの問題です。熱を再利用する場合はその分の吸熱と放出は除外されます。熱効率は向上し、理想的な再生サイクルではカルノー効率へ収束します。

(a)

\begin{split} Q_{23}&=\Delta U+\Delta W\\ &=c_{v}(T_{3}-T_{2}) \end{split}

\begin{split} Q_{34}&=\Delta U+ \Delta W\\ &=\int_{V_{3}}^{V_{4}} pdV\\ &=\int_{V_{3}}^{V_{4}} RT_{3}\frac{1}{V}dV\\ &=RT_{3}ln\left(\frac{V_{4}}{V_{3}}\right) \end{split}

(b)

\begin{split} |Q_{41}|&=|\Delta U+\Delta W|\\ &=c_{v}(T_{4}-T_{1})\\ &=c_{v}(T_{3}-T_{1})\\ &=Q_{23} \end{split}

(c)

\begin{split} \eta &=1-\frac{Q_{out}}{Q_{in}}\\ &=1-\frac{|Q_{12}|+|Q_{41}|}{Q_{23}+Q_{34}}\\ \end{split} ここで$|Q_{12}|$をもとめます。

\begin{split} |Q_{12}|&=\int_{V_{2}}^{V_{1}} pd V \\ &=\int_{V_{2}}^{V_{1}} \frac{RT_{1}}{V}d V\\ &=RT_{1}ln\left(\frac{V_{1}}{V_{2}}\right) \end{split}

よってそれぞれを代入します。このとき、$V_{3}=V_{2}  V_{4}=V_{1}$に注意して整理します。 \begin{split} \eta &=1-\frac{c_{v}(T_{3}-T_{2})+RT_{1}ln\left(\frac{V_{1}}{V_{2}}\right)}{c_{v}(T_{3}-T_{2})+RT_{3}ln\left(\frac{V_{4}}{V_{3}}\right)}\\ &=1-\frac{c_{v}(T_{3}-T_{1})+RT_{1}ln\varepsilon }{c_{v}(T_{3}-T_{1})+RT_{3}ln\varepsilon }\\ &=\frac{Rln\varepsilon (T_{3}-T_{1})}{c_{v}(T_{3}-T_{1})+RT_{3}ln\varepsilon } \end{split}

(d)

再生サイクルの問題。放熱の一部を吸熱に使用しているため、その部分は全体でみると相殺される。 よって

\begin{split} \acute{Q_{in}}&=Q_{34}\\ \acute{Q_{out}}&=Q_{12} \end{split}

となるので熱効率は \begin{split} \acute{\eta}&= 1-\frac{\acute{Q_{in}}}{\acute{Q_{out}}}\ &=1-\frac{|Q_{12}|}{Q_{34}}\ &=1-\frac{RT_{1}ln\varepsilon}{RT_{3}ln\varepsilon}\ &=1-\frac{T_{1}}{T_{3}} \end{split} このように再生サイクルでは熱効率が向上し、カルノー効率になっています。

(4)不可逆変化のエントロピー変化の問題

基本的に断熱変化では等エントロピー変化です。 しかし不可逆断熱膨張などはエントロピーが増大します。そのエントロピー変化量は不可逆過程を積分できないので、可逆変化過程から求めることになります。 今回の問題は誘導に従えば解答できますが、後半は解答に私自身もわかりませんでした。わかる方はコメントで教えていただきたいです。

(a)

(i)

可逆変化の等エントロピー変化より$dS=\frac{dQ}{T}=0$となる。 断熱変化であり、平衡状態なのでポアソンの法則より

\begin{split} pv^{\kappa}&=const.\\ p\left(\frac{RT}{p}\right)^{\kappa}&=const.\\ p^{1-\kappa}T^{\kappa}&=const.\\ p^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}T&=const. \end{split}

よって

\begin{split} p_{0}^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}T_{0}&=p_{1}^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}T_{1}\\ T_{1}&=\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}T_{0} \end{split}

(ii)

工業仕事は$-\int vdp $と定義されますがこれは気体がする仕事です。 問題で聞かれているものは圧縮機がする仕事であるため$\int vdp $になることに注意しましょう。

今断熱過程であるため \begin{split} dq&=du+pdv\\ &=dh-vdp=0 (\because dh=du+d(pv))\\ dh&=vdp \end{split} つまり、求める工業仕事はエンタルピーの変化量に等しい。 よって \begin{split} \int_{p_{0}}^{p_{1}}vdp&=h_{1}-h_{0}\\ &=p_{1}v_{1}+c_{v}T_{1}-p_{0}v_{0}-c_{v}T_{0}\\ &=RT_{1}+c_{v}T_{1}-RT_{0}-c_{v}T_{0}\\ &=c_{p}(T_{1}-T_{0})\\ &=c_{p}\left\lbrace \left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}-1\right\rbrace T_{0} \end{split} (別解) もちろん$\int vdp$を直接計算することもできます。 計算が煩雑なので省略します。

(b)

(i)

(1)(a)(ii)と同じように \begin{split} \Delta S&=c_{v}ln\left(\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\right)+Rln\left(\frac{V_{\acute{1}}}{V_{0}}\right) \\ \end{split} ここで

\begin{split} p_{0}V_{0}&=RT_{0}\\ p_{\acute{1}}V_{\acute{1}}&=RT_{\acute{1}} \end{split}

よって $$ \frac{V_{\acute{1}}}{V_{0}}=\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\frac{p_{0}}{p_{\acute{1}}} $$ この関係式を代入して \begin{split} \Delta S &=c_{v}ln\left(\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\right)+R\left\lbrace ln\left(\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\right)+ln\left(\frac{p_{0}}{p_{\acute{1}}}\right)\right\rbrace \\ &=c_{p}ln\left(\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\right)+Rln\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right) \end{split}

(ii)

(iii)

\begin{split} \Delta s&=s_{\acute{1}}-s_{1}=c_{p}ln\left(\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\right)+Rln\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)\\ \frac{s_{\acute{1}}-s_{1}}{c_{p}}&=ln\left\lbrace \frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\left(\frac{p_{0}}{p_{\acute{1}}}\right)^{\frac{R}{c_{p}}}\right\rbrace\\ \exp\left(\frac{s_{\acute{1}}-s_{1}}{c_{p}}\right)&=\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\left(\frac{p_{0}}{p_{\acute{1}}}\right)^{\frac{R}{c_{p}}}\\ T_{\acute{1}}&=\exp\left(\frac{s_{\acute{1}}-s_{1}}{c_{p}}\right)T_{0}\left(\frac{p_{0}}{p_{\acute{1}}}\right)^{-\frac{R}{c_{p}}}\\ &=T_{1}\exp\left(\frac{s_{\acute{1}}-s_{1}}{c_{p}}\right) \left(\because T_{1}=\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}T_{0}, -\frac{R}{c_{p}}=\frac{1-\kappa}{\kappa} \right) \end{split}

(iv)

この問題の意図がよくわかりません。自身がないので参考程度にお願いします。

増減をきいているわけですから、変数で偏微分をすればいいと思います。

\begin{split} \Delta s&=c_{p}ln\left\lbrace\frac{T_{\acute{1}}}{T_{0}}\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)^{\frac{\kappa-1}{\kappa}}\right\rbrace\\ \end{split}

このように$\Delta s$は表せます。どの変数で偏微分するかですが、定数である$c_{p},\kappa $は除外されます。よって、偏微分する変数は$T_{0},T_{\acute{1}},p_{1},p_{0}$。 結果的に$T_{\acute{1}},p_{0}$については増加するにつれて$\Delta s$も増加する $T_{0},p_{1}$は逆に減少します。

どこまで記述すればいいのかわかりませんがだいたいでいいのではないでしょうか。

(v)

\begin{split} T_{\acute{1}}&=T_{0}\left(\frac{p_{0}}{p_{1}}\right)^{\frac{1-\kappa}{\kappa}}\exp\left(\frac{s_{\acute{1}}-s_{0}}{c_{p}}\right)\\ \end{split}

【国家総合職過去問解答】2023専門記述試験 機械力学

今回は国家総合職採用試験工学区分の機械力学の解説をしていきます。

間違っているかもあしれませんが解答の参考にしてください。

問題は載せていませんし、インターネット上では得ることは難しいと思います。

問題が欲しい方は iguana41014@gmail.com に連絡してください。

問題の難易度

小問が3つまであり、振動、ラグランジュ方程式が題材です。

わかりにくい問題が一部ありますが多くの問題は基本的な問題でした。

多くの方がよくできたのではないでしょうか。

基本事項を確認する意味でちょうど良い問題です。

(1)ばねの振動に関する問題

落ちついて一個ずつ解いていけば難しくはないです。

(a)

$ \theta$の正方向に注意して復元力がなすモーメントは

\begin{split} M_{k} &= -k_{B} r_{4}tan \theta -k_{A}r_{3}tan \theta\cr & \simeq -(k_{A}r_{3}+k_{B}r_{4}) \theta \end{split}

問題文に$tan\theta \simeq\theta$と近似してよいと書いてありますが、この近似は自分でできるようにしましょう。

(b)

Oまわりに慣性力がなすモーメントとは、いわゆる慣性モーメントのことなので$I \ddot{\theta}$を計算すればいいです。

系全体の慣性モーメントは、各質点のOまわりの慣性モーメントの合計なので、平衡軸の定理を用いて

\begin{split} I&= I_{1}+I_{2}\\ &=m_{1}r_{1}^{2}+m_{2}r_{2}^{2}\\ \end{split}

よって $$ M_{i}=(m_{1}r_{1}^{2}+m_{2}r_{2}^{2})\ddot{\theta} $$

(c)

復元力がなすモーメントと慣性力がなすモーメントが一致するので運動方程式

$$ (m_{1}r_{1}^{2}+m_{2}r_{2}^{2})\ddot{\theta}=-(k_{A}r_{3}+k_{B}r_{4}) \theta $$

(d)

まずは並列ばねのばね定数を求めます。

全体の伸び(x)が各ばねののびと一致し、全体の復元力は各ばねの復元力の合計になるので

\begin{split} k_{A}x&=k_{1}x+k_{2}x \\ k_{A}&=k_{1}+k_{2}\\ \end{split}

次に直列ばねのばね定数を求めます。

ばね全体ののび(x)は各ばねののび($x_{3},x_{4}$)の合計であり、全体の復元力と各ばねの復元力は一致するので

$$ \begin{split} k_{B}(x_{3}+x_{4})&=k_{3}x_{3}=k_{4}x_{4} \\ \end{split} $$ これらの連立方程式とくと以下のようにまとまります。 $$ k_{B}=\frac{k_{3}k_{4}}{k_{3}+k_{4}} $$

(e)

運動方程式より

\begin{split} \ddot{\theta } &=-\frac{k_{A}r_{3}+k_{B}r_{4}}{m_{1}r_{1}^2+m_{2}r_{2}^2} \theta \\ \end{split}

この微分方程式を解くには $ \theta = A \exp(i \omega_{n}t)$ と仮定し運動方程式へ代入します。 すると

\begin{split} -A \omega^{2}_{n}\exp(i\omega_{n}t)=-\frac{k_{A}r_{3}+k_{B}r_{4}}{m_{1}r_{1}^2+m_{2}r_{2}^2}A\exp(i\omega_{n}t) \end{split}

となります。 これより固有角振動数は以下のように計算できます。

\begin{split} \omega_{n}^{2} &= -\frac{k_{A}r_{3}+k_{4}r_{4}}{m_{1}r_{1}^2+m_{2}r_{2}^2} \\ \omega_{n}&= \sqrt{\frac{k_{A}r_{3}+k_{B}r_{4}}{m_{1}r_{1}^2+m_{2}r_{2}^2}}\\ &= \sqrt{\frac{(k_{1}+k_{2})r_{3}+(\frac{k_{3}k_{4}}{k_{3}+k_{4}})r_{4}}{m_{1}r_{1}^2+m_{2}r_{2}^2}}\\ \end{split}

(f)

まず運動方程式に値を代入します。

\begin{split} \ddot{\theta }&= -\frac{2k \frac{r}{2}+\frac{k}{2} \frac{r}{2}}{2mr^{2}} \theta \\ &= -\frac{5k}{8mr} \theta \end{split}

よって前の問題と同じようにして、固有振動数

\begin{split} \omega &= \sqrt{\frac{5k}{8mr}} \ \end{split}

また、問題文より境界条件

\begin{split} \theta_{0} &= Asin(\varphi) \\ \dot{\theta_{0}} &= A\omega cos(\varphi) \end{split}

となりました。

まずは位相角$\varphi $を求めましょう。 境界条件より

\begin{split} tan\varphi &= \frac{\omega \theta_{0}}{\dot{\theta_{0}}} \\ &= \sqrt{\frac{5k}{8mr}}\frac{\theta_{0}}{\dot{\theta_{0}}} \end{split}

となりますが、ここで$0\leq \varphi \leq \phi$として

$$ \varphi =arc tan\left(\sqrt{\frac{5k}{8mr}}\frac{\theta_{0}}{\dot{\theta_{0}}}\right) $$

と位相角を求めることができました。

また振幅は境界条件より

\begin{split} A &= \frac{\theta_{0}}{sin\varphi} \\ &= \sqrt{\frac{8mr\dot{\theta}_{0}^{2}+5k\theta_{0}^{2}}{5k}} \end{split}

省略しましたが、$sin\varphi$を$tan\varphi=\sqrt{\frac{5k}{8mr}}\frac{\theta_{0}}{\dot{\theta_{0}}}$から求めて計算しています。 位相角の角度を制限してありますので$sin\varphi$は必ず正になります。 制限していなくても、振幅は絶対値で計算されますので必ず正になります。

(2)ラグランジュ方程式の問題

ここも簡単です。最後のラグランジュ方程式から運動方程式を導き出すときによく計算ミスをしますので注意しながら計算しましょう。

(a)

\begin{split} x &= Rsin\theta cos\varphi \\ y&= Rcos\theta sin\varphi\\ z&= R-Rcos\theta \end{split}

(b)

\begin{split} V &= mgz \\ &=mgR(1-cos\theta) \end{split}

(c)

質点の速度ベクトルを知りたいですね。 速度ベクトルは、位置ベクトルを微分すると求まります。

\begin{split} \dot{x}&= R(\dot{\theta}cos\theta cos\varphi-\dot{\varphi}sin\theta sin\varphi)\\ \dot{y}&= R(\dot{\theta}cos\theta sin\varphi-\dot{\varphi}sin\theta cos\varphi)\\ \dot{z}&= R(\dot{\theta}sin\theta) \end{split}

時間tで微分しますので、合成関数の微分の計算を間違えないように注意しましょう。

よって運動エネルギーは

\begin{split} T&=\frac{1}{2}m(\dot{x}^{2}+\dot{y}^{2}+\dot{z}^{2}) \\ &=\frac{1}{2}mR^{2}(\dot{\theta}+\dot{\varphi}^{2}sin^{2}\theta) \end{split}

(d)

なんというサービス問題でしょうか。公式を書くだけですね。

今変数は$\theta$と$\varphi$ の2つあるので、その2つについて書きましょう。

\begin{split} \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{\theta}}\right)-\frac{\partial L}{\partial \theta}&=0\\ \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{\varphi}}\right)-\frac{\partial L}{\partial \varphi}&=0 \end{split}

(e)

ここまで来たら落ち着いて計算するだけです。

\begin{split} L&= T-V\\ &=\frac{1}{2}mR^{2}(\dot{\theta}+\dot{\varphi}^{2}sin^{2}\theta)-mgR(1-cos\theta) \end{split}

ここで変数は$\theta ,\varphi$の2つあるのでそれぞれにラグランジュ方程式を示す。

\begin{split} \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial\dot{\theta}}\right)-\frac{\partial L}{\partial \theta}&= \frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}mR^{2}2\dot{\theta}\right)-\left(\frac{1}{2}mR^{2}\dot{\varphi}^{2}2sin\theta cos\theta -mgRsin\theta\right)\\ &=mR^{2}\ddot{\theta}-\left(mR^{2}\dot{\varphi}^{2}sin\theta cos\theta -mgRsin\theta \right)\\ &=0 \end{split}

よって $$ \ddot{\theta}-\dot{\varphi}^{2}sin\theta cos\theta +\frac{g}{R}sin\theta =0 $$ もう1つは

\begin{split} \frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial\dot{\varphi}}\right)-\frac{\partial L}{\partial \varphi}&= \frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}mR^{2}2\dot{\varphi}sin^{2}\theta\right)\ &=0 \end{split}

よって $$ \ddot{\varphi sin^{2}\theta}=0 $$

(3)自由振動の問題

基本的な問題です。しかし分野が複雑なのでよく理解しておくためにも、教科書等を見直すことをおすすめします。

(a)

$$ m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=0 $$

(b)

$$ \ddot{x}+\frac{c}{m}\dot{x}+\frac{k}{m}x=0 $$ ここで

\begin{split} \omega_{n}&= \sqrt{\frac{k}{m}}\ \zeta&=\frac{c}{2\sqrt{mk}} \end{split}

とすると運動方程式は次のようになります。 $$ \ddot{x}+2\zeta \omega_{n}+\omega_{n}^{2}=0 $$ よく見る形になりました。

これは非斉次2階微分方程式であるので一般解は基本解の線形結合で表せます。

$x=A\exp (\lambda t)$と仮定し運動方程式へ代入すると $$ \lambda^{2}+2\omega_{n}\zeta \lambda +\omega_{n}^{2}=0 $$ この2次方程式の判別式が正、ゼロ、負の3つで場合分けを行います。

(i) $0 \leq \zeta \leq 1$のとき

特性根は $$ \lambda_{1,2}=-\zeta \omega_{n}\pm i \omega_{d}   (\omega_{d}=\sqrt{1-\zeta^{2}}\omega_{n}) $$ 一般解は基本解の線形結合なので

\begin{split} x&=A_{1}\exp(\lambda_{1}t)+A_{2}\exp(\lambda_{2}t)\\ &=A_{1}\exp(-\zeta\omega_{n}t)\exp(\omega_{d}it)+A_{2}\exp(-\zeta \omega_{n}t)\exp(-\omega_{n}it)\\ &=\exp(-\zeta\omega_{n}t)\left(A_{1}\exp(\omega_{d}it)+A_{2}\exp(-\omega_{n}it)\right)\\ &=\exp(-\zeta\omega_{n}t)\lbrace A_{1}(cos(\omega_{d}t)+i sin(\omega_{d}t))+A_{2}(cos(\omega_{d}t)-i sin(\omega_{d}t))\rbrace\\ &=\exp(-\zeta\omega_{n}t)\lbrace (A_{1}+A_{2})cos(\omega_{d}t)+i(A_{1}-A_{2})sin{\omega_{d}t}\rbrace\\ &=\exp(-\zeta\omega_{n}t)\lbrace C cos(\omega_{d}t)+D sin(\omega_{d}t)\rbrace\\ &=\exp\left(-\frac{c}{2\sqrt{m k}}\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)\left\lbrace C cos\left(\sqrt{1-\frac{c^{2}}{4mk}}\sqrt{\frac{k}{m}}\right)+D sin\left(\sqrt{1-\frac{c^{2}}{4mk}}\sqrt{\frac{k}{m}}\right)\right\rbrace\\ &=\exp\left(-\frac{c}{2m}t\right)\left(C cos\left( \frac{\sqrt{4mk-c^{2}}}{2m}t \right)+D sin\left( \frac{\sqrt{4mk-c^{2}}}{2m}t \right)\right) \end{split}

と解が求まりました。 計算が複雑なので、少し丁寧に書いておきました。

この時の振動を不足減衰といいます。

(ii) $\zeta=1$のとき 特性根は $$ \lambda=-\zeta \omega_{d}  (重解) $$ よって一般解は

\begin{split} x&=A_{1}\exp(\lambda t)+A_{2}t\exp(\lambda t)\\ &=A_{1}\exp(-\zeta \omega_{n}t)+A_{2}t\exp(-\zeta \omega_{n})\\ &=\exp(-\zeta \omega_{n}t)(A_{1}+t A_{2})\\ &=\exp\left(-\frac{c}{2m}t\right)(A_{1}+A_{2}t) \end{split}

この振動は臨界減衰といいます。 (iii)$\zeta > 1$のとき 特性根は $$ \lambda_{1,2}=-\zeta\omega_{n}\pm \omega_{d} $$ より $$ x=\exp \left(-\frac{c}{2m}t\right)\left\lbrace A_{1}\exp\left(\frac{\sqrt{4mk-c^{2}}}{2m}t\right)+A_{2}\exp\left(\frac{\sqrt{4mk-c^{2}}}{2m}t\right)\right\rbrace $$

この振動は過減衰です。

(c)

グラフは3つの場合においてかけるようにしておきましょう。

赤:不足減衰 緑:臨界減衰 青:過減衰

以上で終わりです。

自己紹介とブログの概要

自己紹介

東大機械系の院生です。

好きなことは、ドライブやサイクリング、ゲームなどです。

東大には一浪して入りました。もともと物理、数学が好きだったのですが大学に入学してからは難しすぎて挫折しました。

プログラミングもちょこちょこやってます。

院試も終わり落ち着いたので、ゆっくりと過去問解説を投稿しようかなと思います。

 

ブログの概要

このブログを書くきっかけは、院試に向けて勉強しているときにネットの情報や解説に大変お世話になり、私も後輩の助けになりたいと思ったためです。また、情報はとても重要であり、情報を知っている知らないかで大きく結果は変わります。そのため、私の知りえる情報をブログで発信しようと思ったためです。

 

東大の学部試験は情報にあふれていますので私がする必要がないと感じました。

大学院の情報は少ないですが、機械系に限ると完成度が高いものが多くあったので私が追加で提供できることは少ないと感じました。

国家総合職の工学区分の試験情報は全くなかったです、大手予備校も文系に重点を置いているようで情報がありません。それだけではなく参考書もよいものがありませんでした。ですので、私が主に過去問解説の情報を提供できるのではないかと考えました。

主に2次試験の専門記述試験の解説していきます。1次試験の基礎能力、専門選択式の試験は簡単ですので、解説は必要ないかと判断しました。